「どろろ」を_

調べてみたら、こっちは来年公開予定の映画だって!。柴咲コウ妻夫木聡の出演だそうな。柴咲が「どろろ」で、妻夫木が「百鬼丸」ってこと?へぇ〜、びっくりですねぇ…一体どんな映画になるんだろ。室町時代が舞台の妖怪退治もので、身体欠損を描いてるし、ホントに作れるのかしら?映像化は難しいよぉ…ま、余計なお世話か(笑)。
原作のマンガの方は連載時(’67〜)に、けっこう面白く読んだ覚えが有るけどね。虫プロでの「どろろ」(’69・4〜)は杉井ギサブロー監督、出崎統富野喜幸高橋良輔演出、槻間八郎美術、北野英明作画監督のモノクロ作品(なかなか凄いメンバー!)。計26本のシリーズだった。文字通りおどろおどろしてて、暗いし、シリアスなアニメでしたか。私は原画の一員だったけど、正直、描いててあまり楽しい仕事じゃなかったなぁ…。この作品終了時に私は虫プロを退社しました。
実は「どろろ」は順調に制作がスタートしたものの、途中でヘラルド映画の長編アニメラマ「千夜一夜物語」が全社挙げての制作となって、一時棚上げ。現場はそれこそ想像を絶する徹夜徹夜の連続となります。数ヶ月の間、スタジオは不夜城に。若い作画スタッフの殆んどは家に帰ることなど出来ません。「月400時間の残業」って想像できます?朝の出勤時間にタイムカードで「退社」をガチャーン!続いて位置をずらして「出社」をガチャーン!。毎日これが続くのです(会社に住んでる?)。残業代は月70時間までが支給されて、それ以上は8時間につき1日の代休が貰えます。だから残りの330時間が代休分(何日分になるんだ!笑)。1年間有効の代休だけど、中には百何十日持ってるなんて奴もざらで、実際には使えやしない。そうなると、ちょっとでも遅刻するとその日は代休にしちゃう。まぁ、このときの勤務体系はデタラメでしたね。
スタジオのあちこちにスタッフが倒れて(?)います。各々がそれぞれの工夫で睡眠をとっている姿です。作画が終わってもアニメーターは鉛筆を絵の具筆に持ち替え、次に彩色を手伝う。いくら若いとはいえ、こんなことはいつまでも続けられるものでは有りません。そんなこんなで「千夜一夜物語」が終わり、一時中断していた「どろろ」の制作が再開、スケジュールは当然押してますから、こちらも当然スタート時のような余裕は無く、ムチャクチャ忙しい日々がさらに続きます。「どろろ」限りで虫プロを辞めたのは<燃え尽き症候群>だったのかもしれませんね。それこそオーバーでなく、「倒れるか」「辞めるか」どっちを取る?って状況でした(前記の代休使って3、4ヶ月休むなんて、「絵空事」)。無理が一番いけません。同じように辞めていったスタッフの何と多かったことか!
他の業界に比べ、アニメ界に早逝する仲間がやけに多いのは、この辺に起因しているのだと私は思うのです。私はその後、フリーの外注として虫プロの仕事を続けますから、会社が嫌で辞めたわけじゃありません。ありゃ、またしても何だか妙な日記になってしまった。