思い出ばなし…_

「まんが偉人物語」坂口尚担当作

昨夜は坂口尚のマンガを幾つか読んでから就寝。
「あっかんべェ一休」「石の花」などの長編もいいんだけど、彼の真髄は何といっても珠玉の短編群にあると、私は思っています。どれもが詩情に溢れている。
ここで思い出すのが、高校時代の彼との出会い。マンガ同人誌の仲間としてが最初だが、同学年だっただけでなく、愛読誌にSFマガジン、好きな作家がレイ・ブラッドベリまでもが共通だったこと。当時のマンガ少年の多くはSFファンでもあったから別に不思議は無いんだけど、それぞれの好みは微妙に違っていて、本格スペース・オペラが好きな連中、幻想SF派、軽妙・酒脱なF・ブラウン派等…ブラッドベリは抒情派のピカ一の存在。風貌からはブラッドベリが好きなようにはとても思えないんだけど(笑)、きっと、そんなところからも意気投合しちゃったんだと思う。
私は只の愛読者で終わってるけど、彼は自分の中に何か同じものを感じてたんでしょうね、後年の坂口尚の短編作品にはブラッドベリと驚くほど共通のテイストが有ります。二人とも稀代の<詩人>ですから。彼の短編集は現在は書店でもなかなか見かけないけれど、もし、目にする機会があれば是非読んで欲しい。絶対、心に残ること請け負います。
余談だけど、私は若い頃アニメの仕事をダブって請けてしまった時は、片方でペンネームを使いました。「入辺虎武(いりべとらたけ)」というのがその名前。カタカナで「イリべトラブ」(逆からどうぞ)。遥か昔の東映動画のアニメシリーズのEDのどこかに、こっそり載っているかもしれません(笑)。実際に何人かからは「いりべさん」って呼ばれてましたっけ。
で、画像は私の監督したTVシリーズ「まんが偉人物語」(ヘラルド、タック、毎日放送’77〜’78)のアニメ絵本です(絵本になっているのは全92作中の60作)。坂口尚が担当したもの5作。彼は6作を担当してくれました(もう一つは「ピカール」)。