「灯」_

「灯」創刊号と一周年号

昭和38年に創刊の抒情文芸誌「灯」(久保書店・発行)。
左がその創刊号で、右が一周年の号です(私の初投稿の短詩が掲載されている)。
たしか、昭和38年、私17歳(高2)の秋に、別の高校の友人(♂)からこの雑誌の存在を教えられたのだと思う。友人の同級生(♀)の投稿作品が載ってるとかで。
表紙の雰囲気からしても、自分から手に取る類の本ではありませんからね(笑)。
マンガや劇画主人公の似顔絵など、投稿がお手の物だった私は、「入選すると賞金がもらえるの? ん〜…ひょっとして書けるかも」と思ってしまったのです。なんという不謹慎・不純な動機。
中でも短詩は口語で十七字前後の自由律、たった一行でいいんですから!
で、さっそくに投稿。そしたらそれが佳作入選しちゃった(記念品はオリジナル書用箋)。
次の号は抒情詩にも挑戦、いきなり三位入選(短詩も同じく三位)で賞金(一位1000円、二、三位は500円)をゲット!
この「お小遣い」は当時の高校生には大きいです。私、すっかり図にのってしまいました。
以後、数ヶ月に亘りほぼ毎号に佳作以上の掲載が続く(短詩で一位も)…が、所詮、小手先で書けるものではありません。投稿仲間が創設のサークルに参加したり、身近な友人と同人詩集を作ったりもしましたが、すぐに壁にぶつかります。一年ももたずに挫折。なんという短期間だったのでしょう! 
そして最後に投稿したのは高校卒業の春でした。その詩が三位入選となったものの、選者の竹内てるよさんから選評で「投げないで書いていってくださいよ」と書かれてしまいました。
以後、目標としていたアニメーションの世界に身を置くと、その面白さ、そして忙しさも重なり、自然と詩からは遠のいて…そのままに。
こんな情けない顛末が、私の詩作に関する「青春プレイバック」です。
でも、まこと濃密な、青春のヒトコマだったことに疑いはありませんね。
「灯」はその後「抒情文芸」と誌名が変わり…残念ながら廃刊となってしまいました。が、熱心な愛読者たちがそれを見事に復刊させて、季刊「抒情文芸」(抒情文芸刊行会・発行)が今に存在しています(なんと創刊33年!)。
読者投稿による誌面構成・編集方針は「灯」時代と変わっていないようです。
そう、青春は…継続中…なのだ。


↑創刊号の目次と投稿の呼びかけページ。歌謡詩の選者は、あの川内康範氏だ!