タツノコのこと。_

数ヶ月前から少しづつ始めている<所蔵録画ビデオのDVD化>が、ようやく三分の一くらい終わったかな。自分が監督した番組はまだ数作品が残っているが、演出担当のものはほぼ完了。タツノコのお花見がらみで、急遽(なんで?笑)「新・みなしごハッチ」(’74・4〜)を片付けた。第1シリーズでなく、タイトルに(新)って付いてる続編のシリーズ。監督は原征太郎さん。私がタツノコの新入りアニメーターだった時の上司です。担当したのはNo.5、11、13、17、23の五話。いやぁ、全編に母を捜し求めるけなげさ、せつなさが「これでもか!」ってくらいに充満している。これぞまさしくタツノコカラー!!(浪花節ですかね?「瞼の母」だ)。
タツノコは良くも悪くも創業者「吉田竜夫・健二・九里一平の三兄弟ファミリー」を中心にしたプロダクションで、終始、一種独特の作品作りをしていた。代表作を挙げるのに苦労するくらいですが、幾つかを。
①泥臭いまでのお涙頂戴の「みなしごハッチ」「樫の木モック」「けろっこデメタン」…
②馬鹿馬鹿しいギャグ路線の「おらぁグズラだど」「ハクション大魔王」「タイムボカン」シリーズ…
③カッコいい冒険活劇は「マッハGOGOGO」「ガッチャマン」「キャシャーン」…
といった、あくまでもオリジナル作品での真っ向勝負がモットー。数々の傑作、快作が作られました。(※例外として、川崎のぼるの「いなかっぺ大将」「てんとう虫の歌」が有る)それに伴い、押井守をはじめ真下耕一なかむらたかし、植田秀仁、プロダクションIGの石川氏などなど、今のアニメ業界を支える多くの人材を輩出しています。しかしその後、業界全体においてオリジナルのアニメ企画自体が番組としての成立が難しくなってくると、現場は次第に開店休業のような状況になる。それでも、これだけ多くのヒット作品を残したことで、近年までずっと版権管理業務を主体としてしっかりと生き延びていた(失礼!)。ですから、先般のタカラによる吸収合併は残念です。この事はつい先日もこの日記で触れました。(創立40周年の記念に送られてきた<ご挨拶DVD>を観て、感慨にふけったばかりだったというのに…)。
現在、ライブドア株で話題のUSENが運営している「GyaO」でこれらタツノコのアニメ番組の多くがネット配信されています。ご参考まで。
さて週末に延期となった「タツノコ系(?)夜桜お花見」、体調はどうかな?