306号_

月刊「広場」306号

ん、ひょっとしてインドネシア…?なんて、
どこか南アジア系の舞踊コスチュームなのでしょうか。
今回「表紙のことば」が無いようで、正確なところは不明。うーん、ちょっと気になる(笑)。
この素晴らしい表紙は、松田朝旭さんです。
巻頭カラーの磯村みどりさん(女優)の絵、「紫陽花」が素敵!
先の「あながま会」のオープニングパーティーでお話した方が「広場」に登場とはビックリ。
M・Oさんのお知り合いだったとは…人のつながりって面白い。
今号はマンガや、イラストがいつもより多いみたいで、記事も広範にわたり、実に楽しい誌面になっています。
そして、私の連載「並木座ウィークリーと共に」はついに最終回(第25回)。
では、ラス前の第24回をどうぞ。プログラムは93号から96号の紹介です。
※いつものように個人的部分はHPのみに掲載(こっちは面倒だから一気にラストまで載せちゃいます)。


●93号 扉は 「馬五郎一座ののぼり」 えと文 久保一雄
上映は「浮草日記」(山本プロ・俳優座提携作品/独立映画)
原作・真山美保 脚本・八住利雄 監督・山本薩夫
出演・東野英治郎津島恵子/松本克平/菅原謙二
〈解説〉
原作は新制作座の当り狂言「市川馬五郎顛末記」で、「勲章」につぐ、俳優座の第二回自主作品で「太陽のない街」につづく、山本薩夫監督一年ぶりの作品である。
同時上映「霜と霜柱」日本視覚教材株式会社(文部省特選)
映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第九十五号)
「明るい大衆喜劇を」山本薩夫
自分の作品が完成したあと、私は出来るだけ座談会や討論会に出席して観客者の皆さんの意見や批判を聞くようにしています。(略)所でこの五年間の独立プロでの製作活動の中で私たちに対して観客者の皆さんから出た一番多くの批判は「独立プロの作品は良心的ではあるが、とても内容が暗い」ということでした。それと同時に「何故独立プロでは喜劇をつくらないのか」
という意見や要望がありました。こういう観客の皆さんの意見に沿うべく、私は前から明るい大衆喜劇を創りたいと思って居ったのです。(略) 
〈WIPE〉
映画審議会で「文化映画上映に関する入場税減免」案を首相に答申。この減税案は主税局が絶対反対の横槍を入れている。文化映画の育成はしたいし税金はとりたいしお上としては欲ばりたいでしょうが……。(1955・12・14)
●94号 扉は 「作者は誰でしょう」 
※と、クイズになっている。ウィークリー87号の扉と同じ(答は中原ひとみ)。
上映は「暴力街」(東映作品)
企画・根津昇 脚本・井手雅人瀬川昌治 監督・小林恒夫 
出演・津島恵子/高千穂ひづる/中原ひとみ/南原伸二/木村功岡田英次/日野明子
〈解説〉
 「終電車の死美人」を放って快調のメガホンを注目された小林恒夫監督の異色作である。 
※ひょっとして、東映任侠映画の原点がここら辺りに…?
同時上映短編「みかん」文部省選定
企画・日本蜜柑缶詰工業協同組合 製作・日本映画新社
〈映画評紹介〉
「演出に気魄」(日刊スポーツ評)
(略)しかし第一にやくざの世界をドサリと投げ出してみせたような演出の気魄がこの映画の魅力だ。ばかばかしいことを眼の色変えてやりながら怖しい社会悪をはびこらせて行くこの社会、画面は眼を凝らしてそれを眺めている格好だ。  
〈映画ファン教育(エチケット)〉
 年々映画はその数を増していく傾向である。量のみ増えて、質の低下をきたさないかと深く憂えるものである。(略)さて一九五五年の終りにあたり、本年の映画界を振り帰って見ると、一月から十二月までに封切られた映画は、併映用の中篇もの八二本を入れて四一六本である。(略)ひとつ四一六本の中から印象に残っているのを皆様もあげてみては。
〈WIPE〉
 アメリカのファンが選んだ本年度の作品賞と主演賞が発表された。男優は「エデンの東」のジェームス・ディーンで女優は「慕情」のジェニファ・ジョーンズ。作品賞の「ミスター・ロバーツ」の日本封切がたのしみである。(1955・12・21)
●95号 扉は 小林桂樹の色紙「賀春」
上映は「風流交番日記」(新東宝作品)
製作・藤本真澄金子正且 原作・中村獏 脚本・須崎勝彌
潤色・井手俊郎 監督・松林宗恵
出演・小林桂樹志村喬宇津井健/御木本伸介/高田稔
〈解説〉
 雑踏する盛り場の交番を中心に、初老の巡査と三人の青年警官が、いまにも人生の裏街道に行きそうな人達に温い愛情の眼差しを注ぐ微笑ましい作品である。(※前号の上映予告より)
同時上映「セロ弾きのゴーシュ」(文部省選定)
製作・厚木たか 原作・宮沢賢治 脚色・田中澄江/川尻泰司
演出・森永健次郎/川尻泰司 音楽・伊福部昭 セロ独奏・井上頼豊 
※人形劇団「プーク」による人形劇
映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第九十五号)
「原作者のことば」中村獏 
 私は「風流交番日記」を都合六回見た。(以下略) 
※撮影所の完成試写、本社の試写室で作家クラブの友人と、同じ試写室で新聞社のKさんと、新宿のS館で一人、同館で婚約者と二人で、編集者と新宿T館で、と、その都度の印象の違いを軽妙に。(1955・12・28)
●96号 扉は「幸運の新スタア有田紀子」えと文 野口久光
上映は〈木下恵介撰集(2)〉として
☆3日〜14日「野菊の如き君なりき」(昭和30年作品)
製作・久保光三 原作・伊藤左千夫 脚色・木下恵介 撮影・楠田浩之 音楽・木下忠司 
出演・笠智衆/田中晋二/杉村春子/田村高広/有田紀子
☆15日〜21日「カルメン故郷に帰る」(昭和26年作品)
製作・月森仙之助 脚本・木下恵介 撮影・楠田浩之 音楽・木下忠司/黛敏郎
出演・高峰秀子/小林トシ子/佐野周二井川邦子笠智衆
☆22日〜28日「カルメン純情す」(昭和27年作品)
製作・小倉武志 脚本・木下恵介 撮影・楠田浩之 音楽・木下忠司/黛敏郎
出演・高峰秀子/若原雅夫/淡島千景/小林トシ子/東山千栄子北原三枝
同時上映3日〜14日「魚の愛情」文部大臣賞受賞作品
製作・日本映画社 演出・奥村大六郎
※トゲウオの産卵を中心に、その生態を描く記録映画
15日〜21日「阿寒湖のまりも」
提供・日本視覚教材株式会社 脚本演出・太田仁吉 撮影・関口敏雄 
※マリモの発生の状態と自然の条件による変化を撮影したもの
映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第九十六号)
新春随想「映画と野球」藤本真澄  
※映画作りを野球になぞらえて、川上一塁手の四番打者としての立派さが、映画のプロデューサー及び監督にも必要なのであると。(1956・1・3)