盗作?引用?盗用?_

弁護士のくず」っていう人気マンガが、「自著と酷似し、著作権を侵害された」として、ある弁護士から雑誌への掲載差し止めなどを求める仮処分を東京地裁に申し立てられた、って件。
マンガ家は「資料としてこの弁護士の本を参考にしたが、ストーリーは独創。盗作と言われ、強い憤りを持っている」と反論。
出版社側の弁護士は「著作は広く報道された実際の事件をつづったドキュメントで、参考文献として掲載しなかったマナー違反は反省するが、社会的事実に対して著作権侵害は成立しない」と述べ、今後、参考文献として著作名を記述するという。
申し立てた弁護士は近く、損害賠償などを求め正式に提訴する方針。(※報道より要約)
うーん、今後どう展開していくのでありましょうか…?
これ、私にとっても、何か共通する部分があるのかなぁ、と。
私のマンガは歴史ものが主体。一つの出来事を描くにも、多くの参考文献を手元に揃え、記述を読み比べては共通項を探し、それを変わらない事実(定説)として、自分の言葉に置き換えてシナリオに起こしていきます。しかし、解説文など事実関係を書き記す文章は、文脈が同じになったりして、結果的に文献の内のどれかの記述とほぼ一致してしまう場合があるのです。
基本的に、或る文献独自の解釈を取り入れることはしませんが、時には、コレはひょっとして「引用」にあたるのかな…と、思うこともあり、とても「社会的事実に対して著作権侵害は成立しない」と言い切るだけの自信はありません。「歴史的事実の記述」の文章が似てしまうだけでも、ピリピリしてしまう自分がいます。
それこそ、たくさんの<教科書>から学んだ上での、自分の構成・演出に頼っての「お仕事」ですから、その責任は重いのだ!という自覚を忘れてはダメでしょう。
監修者を付ける理由は、私の記述に誤りが無いか、事実の解釈が違っていないか、の判断もあります。ある種「お墨付き」ですが、だからといってこれが私の責任逃れにはならない。
巻末に参考文献を一覧として載せますが、個別に「この部分は、この本のココを参考にしました」とまでは書けません。中には、歴史に材を得た「ドラマ仕立ての読み物」もあったりしますから、そういったものからの影響も避けねばいけません。
参考資料を抜きにしては著作・執筆活動が難しい私にとって、気になるニュースではありました。