グループ・タックの_

内部にスタッフが少なくとも、「まんが日本昔ばなし」のような制作スタイルでは、個別に一本ずつ、外部の意欲ある演出家に頼むことが可能です。作画や仕上げはグロスで下請けという方法もとりましたが、演出家は個人指名発注です。既に挙げた彦根さんはじめ、小華和さん、光延博愛さん、近藤英輔さんの東映動画出身の方々。大御所のりんたろうさん(「ムーミン」で私に演出をやれと言ってくれた恩人)、亜細亜堂を結成したばかりの芝山努さんと小林治さん、虫プロOBであかばんてん主宰の高橋良輔さんに堀口忠彦さんなどなど、それまで私が遠くから眩しく見ていた人たちが続々と参入してくれました。ある意味、個人が好きなように映像を作れちゃうんですから、画期的な番組ですもの!もちろん杉井さんも演出に加わってますから、傑作が次々に生まれたのも当然ですよね。タック内部にいたおかげで私もその仲間に加えてもらって、本当に夢のような至福の一時期でありました。(その後の二次使用のゴタゴタさえなければ…ね)
タックでは、こののち毎日放送との組み合わせが続きますが、第2作「まんが偉人物語」の前に、フジテレビとの「ハックルベリーの冒険」(76年1月〜6月放映)というTVシリーズが入ります。前年初頭、3ヶ月間だけの放送でいったん終了した「まんが日本昔ばなし」も同時期に再開されましたから、とてもタックだけでは人手が足りません。そこで土田プロという制作会社に助っ人を頼み、監督に前述の光延さん、演出はTVシリーズをやってたということで私と小華和さんが交互に担当して全26本をつくりました。作画監督は近藤さんです。声の出演はハックに野沢雅子さん、ジムは今は亡き山田康雄さんでした(ビデオ見たらルパンと全く同じしゃべり!笑)。これの制作時が私が在籍してた中では一番忙しかったんじゃないでしょうかね。77年秋放映スタートの「まんが偉人物語」は今でも、ヒストリーチャンネルなどで時々再放送がされてます。これについては、またいずれの機会で触れることもあるでしょう。この頃、スタジオも間借りしていた虫プロから離れ、代々木のビルのワンフロアに移りました。ここで、「まんがこども文庫」がスタート。私はこの作品を最後にタックを離れ、再びフリーに戻ります。以来ずっと仕事の上ではご無沙汰つづき。
数年前に、タックから新スタジオが渋谷に完成したとのご案内が届きました。(やったね!ついに自社ビルだ)