グループ・タックのこと。_

グループ・タックは「昔ばなし」からずっと続く、良心的な作品作りで定評のあるアニメ・プロダクションです。近々公開される「あらしのよるに」も、このタックが制作してるようですね。杉井ギサブローさんが監督だから、今回もきっと上質な仕上がりのことでしょう。
私がまだアニメーション続けてたら、「少し手伝わせて」ってお願いしてたかもしれません。演出は面白い、けれど作画(原画)は楽しいんです。もともとアニメーターが出発点だから、どうしても鉛筆握って実際にキャラクターを動かしてる方が心地いいんですね。最後に原画やったのはいつだったのか…手塚プロの映画「ジャングル大帝」か。このときは後半の絵コンテを描かせてもらって、その流れで原画も少しお手伝いってことになった。97年のこと。8年も離れていちゃぁアニメはもう無理かもしれませんな。あれ、話がそれた。
そうそう、タックのことを書こうとしてたんだ。
虫プロダクションで音響をやってた田代敦巳さんが、杉井さん他数名を誘って設立した会社です。だから世間では虫プロOBの会社なんていわれてました。しかし、当時は虫プロの倒産に伴ってたくさんの小さな制作会社が生まれたから、OBの会社は他にもごまんとあるのです。それでも、虫プロの創立時の精神を受け継いでいるのは、手塚プロと共にこのタックぐらいのものじゃないかしらね。ま、今でも好きなプロダクションです。かつて「正社員に」のお誘いを断っちゃったけど…今となれば残念?(笑)
73年に最初の作品「たすけあいの歴史」(生命保険のPR映画)でスタート。
次に74年公開の長編ミュージカル「ジャックと豆の木」を虫プロOBのベテランアニメーターたちが集ってつくりました。もちろん杉井さんの監督。(この映画の完成後、参加した多くのスタッフは長編アニメーションの製作を始めるサンリオに移ります)
そしてこの後、タックで「まんが日本昔ばなし」の受注制作が始まるのです。
私は当時、フリーのアニメーター&演出として「小さなバイキング」っていう番組に関わってた。ズイヨー映像(日本アニメーションの前身みたいな…会社)の製作で、ハルバルとビッケっていう海賊親子が主人公のアニメ。ドタバタ・ギャグ調でも垢抜けてて、けっこう面白かった!第9話、14話、15話、20話、22話の5本を演出してます(このビデオテープもあったぞ)。この番組は途中で監督が交代することになったりしてちょっとバタバタ、それをきっかけに私も離れて(別に監督に義理立てしたわけじゃないけど)タックに入ることになったのです。タックの制作スタジオは虫プロのスタジオをそのまま借りてましたから馴染みもあったし、何よりズイヨーは遠い(笑)!ちょうどスタッフ不足のところも私にとってはラッキーだったのかな。
(この項つづく…と)