お疲れ様でした。_

「まんがグリム童話」チラシ

今日で10月が終わり。実は6年間にわたって私の担当編集者であったTさんが、本日付けでK社(講談社でしたね)を退社されます。今後はしばらくご自宅でお仕事なされるとか。今まで本当にお世話になりました。特に「メディチ家物語」を出版にこぎつけるまでのご苦労は大変でしたね。ありがとうございました。これからは、仕事離れてもよろしく!
と、いうことで、今日はTさんと一緒に作った4年間の「グリム童話」がらみの話を少し…
この11月3日から映画「ブラザーズ・グリム」がロードショー公開されます。盛んにTVスポットも流されてる。私も観に行こうと思っていますが、情報だけでの判断では、スリルやホラーありのって…なんだかかつての「本当は怖いグリム童話」的映画なのかな…。やはりそういった企画・構成でないと娯楽映画には成り得ないのでしょうかね。
私が「まんがグリム童話」の依頼を受けたのも、ちょうどこの「本当は〜」の大ブームの時でした。最初は一時の便乗企画かと思ったのも事実です。しかし、ならばいっぺんに多くのマンガ家さんに依頼して、一気に仕上げればよいわけで、私一人に全6巻でというのですから、気の長〜い話です。企画意図は、ブームに流されるのでなく、原典に忠実にマンガ化するというもの。私が「聖書」をそうやって仕上げた点を買っての依頼だということでした。
結果として五十数篇、約1400ページの<ソフト>を作り上げるということはどうやら出来たと思っていますが、それが販売に結びついたかといえば残念ながらNOです。正直、実績はつらいもの…。童話をマンガで読んでもらうということは、やはりそれだけでは難しい。(大人向け単行本シリーズですから、価格の問題もあったのかな…)もちろん「まんが日本昔ばなし」シリーズで昔ばなしを忠実にアニメ表現した経験を、この「まんがグリム童話」にも十分生かしたつもりですから、私としては内容には自信あり!です。売るためには「誰々(著名マンガ家)の〜」とか、「本当は〜」といった何か別の冠が必要だったのかもしれませんけど、それだと原典に忠実という当初の目的とは矛盾してきますしね…いやぁ、商売考えちゃうと難しいや。
オリジナルテイストを大事にするってことがだんだん忘れられていくようで残念。単なる素材じゃないんだけどなぁ。
今回の映画「ブラザーズ・グリム」でもそんな原典との折り合いはどんなものなのでしょうか。先ずはそこに興味を絞って観に行ってみるつもりです。
画像は第一巻刊行時のチラシ。ハインリッヒ・レフラー(1863−1919)のドイツ一枚絵「いばら姫」です。