海外版のこと。_

「まんがグリム童話」日本版と韓国版

先日、私のマンガの韓国語版のことに触れたので、「まんがグリム童話」の韓国語版が日本語版とどう違うのか、画像紹介と共にちょっと説明してみます。
アッ!韓国のさくらloveさんから教えていただいた「マンガ」のハングル、ここに有ったよ!!なんだ、ちゃんと自分で調べられたんじゃないのさぁ!(自分突っ込みだ・トホホ…でも「マンファ」って読むなんて知らなかったもン!)
副題がなにやら刺激的なのは、一応出版社の狙いかな?この中には「白雪姫」を含む八篇がラインナップされてますんで。
えーと、先ずは版型が韓国の方が微妙に小さい(日本版は19.5×13.5です)。
帯は同じように付いてます。文章は多少アレンジしてるのかもしれません(短い)。著者名は私の名前だけ載っていますが、序文の竹宮惠子さんと各話解説の西村佑子さんの名前は省略されている(本編には、名前付きで文章すべてがきちんと翻訳されています)。次に、画像でお分かりのように逆版ですね。これは韓国では本の(ページの)めくり方が逆なのでこうなったのでしょうが、なにも表紙まで逆にする必要はありません。この絵の作者ハインリッヒ・レフラーさんにも失礼です。
中の原稿も殆んどが裏返しになっています。マンガ家はデッサンの狂いをチェックする時に、しばしば裏から透かして見ることがあるのですが、これでは全編チェックされてるのと同じことだ!「殆んど」といったのは、事前の出版許可の段階で私が「コマの左右入れ替え、台詞位置の変更等、すべて逆版にすることでない処理」を要請したからです。一般書なので日本と同じめくりでの出版は無理。ということで、こうなったのですが「マンガ聖書物語」の方はその辺りがとてもうまく処理されていました。ですが、この「まんがグリム童話」は、違う出版社だったせいか、その処理がバラバラで、ほんの一部しか作業されていません。だから登場人物の殆んどが左利きです(笑)。この実例はちょっと面白いので、明日にでもご紹介してみましょうか。(画像は一日一枚だけ掲載可っていうことらしいので。でも、はてなの他の日記で複数載ってるのも見かけるんですよね。よく分からない…)
全6巻の契約だった筈が、3巻以降がなかなか出版されないので、韓国サイドに問い合わせると「担当の人間が退社してしまったから事情が分からない」という返事。(これでも有名出版社なのですよ!)で、後日に別の出版社から「5巻と6巻の出版をさせてくれ」という申し入れがあるなど、なんだかおかしな経緯をたどりました。いまだにうやむや…仲介の日本側K社担当部局もしっかりと対応してくれないと困りますねぇ。まぁ、海外との間での出版契約は難しい。
「マンガ聖書物語」も英語版をアメリカで出したいという依頼がなぜかオーストラリアから来て、しかも「日本の出版社を通さずに個人的に契約を」っていうから断りました。ただ、「英語が出来ないスペイン系の人たちに、教材用として格好の材料」っていう申し入れには妙に納得しましたけど。(もしかして既に海賊版が出てたりしてね…)
コミックスの場合、現在は、ヨーロッパやアメリカなどでは多くが「日本のマンガはこうして読むのだ」というディレクションを入れて、日本と同じ形態で刊行されているようです。逆版は無くなりつつあるのでしょう。この辺りはマンガ研究家の中に詳しい人がいそうですね。あ、台湾の本は日本と同じめくりです。昨日ご紹介のタイの本は逆版。