KHM44「名付け親の死神」(全23ページ)
これ、落語の「死神」と同じ話。というより、落語の方は、グリム童話を翻案して作り上げたモノ。
グリムでは、
子沢山の男に十三番目の子供が生まれる。男は道で出会った死神に、赤ん坊の名付け親になってくれるよう頼む。(「名付け親」というのは将来にわたって、その子の後見人を引き受けるような立場で、頼むのも頼まれるのも一苦労、という背景がある。この話では、最初に神様から、次いで悪魔からの申し出を断っています)
時は移り、成長した青年の前に死神が現れて、
「俺はお前の名付け親だ。お前を医者にしてやろう」
「はぁ?」
「いいか、俺の言うとおりにしろよ」
その男だけに見える死神の姿が、病人の枕元に居たら助かるけど、足元に立ってたら助からない。
(落語では位置が逆だったと思うが。考え方の違いかなぁ、足元に立つのは見放したってこと?面白いね)
男は、もったいぶって「大丈夫、すぐに治ります」「うーむ、残念ながら…」
ずばりずばりと当てるので、男はたちまち名医と評判に。あるとき、欲に駆られた男は、助からない筈の娘を、死神が目を離した隙に身体をクルリと入れ替えて、助けてしまう。さぁ、死神が怒った!男は地獄(?)に落ちる。
そこは、一面ろうそくの灯の揺らめく世界…人間の寿命のろうそくなのですね。赤ん坊のは長くて、老人のは短い。赤々灯っているのや、今にも消え入りそうなの(男のろうそくが正にこれ)…男の懇願に死神が、
「新しいろうそくに灯を継ぎ足せたら、お前は助かる」
そこで、男は慎重に、慎重に…
「死神」は、故六代目三遊亭円生が十八番にしていた演目です。突然の引退表明の円楽さんも師匠譲りで得意にしてた筈。ろうそくの灯が「あぁ…消えるよ…消える…」っていう下げが印象的だった。
そうだ、今晩にでもテープを聴こうか。どっちにする?(両方持ってるのだ。ビデオもね・笑)。やっぱり、このタイミングなら円楽だな(馴染みは別として…)。この落語ばかりは映像なしの方が良い!
ネットでずばりのページを見つけました。「童話作家・北村正裕の部屋」内にこのテーマが詳しく書かれています。
面白かったので、無断ですがご紹介。
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/grimm-rakugo.htm