月刊「広場」6月号_

月刊「広場」305号

曇天模様が続きます。東海地方が梅雨入りとか。
そんな中、月刊「広場」第305号の到着。
オヤ、表紙の人物は…H主宰ですね。作者の高田実さんによると「ようこそ広場へ」と出迎えているのだそうです。にしても、やけにお若い(笑)。
今号は「手塚治虫展」(江戸東京博物館で開催中)のルポ記が目玉なのかもしれませんが、いつになく記事が多岐に亘っています。
目次を見ると執筆陣が大幅増!いい傾向ですねぇ。
では、私の連載記事の転載をば。全25回の23回目です。


●89号 扉は 木下恵介素描 (30年2月5日付東京新聞より) 漫画は中村伊助・画
上映は〈木下恵介選集(1)〉として
「破れ太鼓」「日本の悲劇」「女の園」の3本を、それぞれ6、4、4日間で。併せて、岩波映画の短編「変貌する大天龍」「教室の子供たち」を各7日間。
「破れ太鼓」(昭和24年作品)
製作・小倉浩一郎 脚本・木下恵介小林正樹 撮影・楠田浩之 音楽・木下忠司
出演・坂東妻三郎/森雅之/小林トシ子/桂木洋子宇野重吉
「日本の悲劇」(昭和28年作品)
製作・小出孝/桑田良太郎 脚本・木下恵介 撮影・楠田浩之 音楽・木下忠司
出演・望月優子桂木洋子上原謙高杉早苗高橋貞二
女の園」(昭和29年作品)
製作・山本武 原作・阿部知二 脚本・木下恵介 撮影・楠田浩之 音楽・木下忠司
出演・東山千栄子高峰三枝子高峰秀子久我美子岸恵子
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第八十九号)
岩波映画のこと」阿部慎一(教育映画製作者連盟事務局長)
〈支配人室〉
木下恵介監督選集に木下さんの原稿がどうしても間に合わず残念でした。今「野菊の如き君なりき」の撮影が追い込みになって多忙のために止むを得ないわけです。
※扉かしら? それとも随筆?(1955・11・2)
●90号 扉は 伊藤大輔素描
上映は「王将一代」(新東宝作品)
総指揮・星野和平 製作・津田勝二 原作・北条秀司 
脚本・菊島隆三伊藤大輔 監督・伊藤大輔 音楽・伊福部昭
出演・辰巳柳太郎田中絹代/小暮実千代/香川京子田中春男沼田曜一島田正吾
〈解説〉
将棋への余りにも狂的な情熱の故に、四十の駒と共に盤上を彷徨して七十五年の生涯を貫いた神聖なる阿呆?関西名人?坂田三吉の数奇変転の人間像を浮彫りした人間記録である。
〈映画評紹介〉
「描写の誇張に興味」井沢淳
棋士の立場から」十四世名人 木村義雄  
〈映画ファン教育(エチケット)〉
※ドライブ・クラブという最近の自動車熱が生んだ中古自動車を貸す新商売と、二家族に一台の割で自動車を持っているアメリカで急速にふえつつあるドライブ・イン劇場の紹介。
〈WIPE〉
昔なつかしい浅草の「十二階」が東映の手で劇場ビルとして再現する。新宿には東宝が日本最初の円形劇場を建設する。手を換え、品を換えての劇場ブームである。 ※コマ劇場だ!
〈観客席〉
せっかくの木下選集、来月は又、黒沢選集。これに対する討論会でも開いたらどうですか。最後の日の最終回を九時頃に終わるようにし、映画が好きな者同志で話し合いたいと思います。(1955・11・16)
●91号 扉は 映画製作のスタッフ えと文 松山崇
カットは「青銅の基督」礼拝堂のある庭先のデザインより
上映は「青銅の基督」(松竹作品)
総指揮・高村潔 原作・長与善郎 監修・新村出 脚色・斉藤良輔 監督・渋谷実 音楽・黛敏郎 美術・松山崇
出演・岡田英次/岡田和子/滝沢修/荒木忍/香川京子石浜朗山田五十鈴/信欣三
〈解説〉
切支丹の史実は、悲劇的な要素に満ちている。それを貫くものはいはば悲愴なレジスタンスの精神である。この映画はその単なる史実に捉われず、これらの抵抗の過程に蠢くいろいろの人間像の一断面を描きあげ、生々しいほど現代への息吹きを通はしめたものである。
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第九十一号)
渋谷実が語る「青銅の基督」の演出意図
(略)これは決して徳川の昔に限られたことではなくて、現在、日本や米国でも、この踏絵に似たような愚劣な弾圧が行われつつあると思う。(略)
〈映画評紹介〉
「大作の貫禄は十分」産経新聞より(錦)
〈映画ファン教育(エチケット)〉
ワイド・スクリーンと一口に言っても、シネマ・スコープ、スーパースコープヴィスタヴィジョン、シネラマ等あるが、今度二十世紀フォックスでは五十五ミリフィルムによる方式を完成した。次から次へと新しい方式の映画が技術の研究の結果として誕生しているが、ちょっと変わったのに「フィルム式でない映画」というのがアメリカで研究され、それがすでに出来ているとも伝えられている。これは映画をテープ録音のようにテープに磁気録音?するのだそうである。この方法が実用化されたら一大革命をもたらすであろう、機械あっての映画芸術であってみれば……。 ※ビデオだ! (1955・11・23)
●92号 扉は 黒沢明の絵コンテ(「羅生門」のファースト・シーン)
上映は〈黒沢明選集〉として「野良犬」「羅生門」「生きる」を5、4、5日間で。同時上映の短編記録映画「新しい米つくり」と「尾瀬」がそれぞれ9、5日間。
「野良犬」(昭和24年作品)
製作・本木荘二郎 原作・黒沢明 脚本・菊島隆三 撮影・中井朝一 音楽・早坂文雄 
出演・三船敏郎志村喬淡路恵子木村功/山本礼三郎
羅生門」(昭和25年作品)
製作・箕浦甚吾 原作・芥川龍之介 脚本・黒沢明橋本忍
撮影・宮川一夫 音楽・早坂文雄 
出演・三船敏郎森雅之京マチ子志村喬千秋実
「生きる」(昭和27年作品)
製作・本木荘二郎 脚本・黒沢明橋本忍/小川英雄 撮影・中井朝一 音楽・早坂文雄 
出演・志村喬金子信雄/小堀誠/浦辺粂子伊藤雄之助
〈解説〉
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第九十二号)
「早坂さんを偲ぶ」本木荘二郎  ※映画音楽の第一人者 
昭和30年10月15日死去 42歳(1955・11・30)