そろそろ慈雨を。_

各地で火災のニュース、気をつけましょう。
空気が乾燥しきっていますからねぇ…喉にも良くありません(室内にも適度な湿り気をね)。草花への水遣りも忘れずにということで、庭にもベランダの鉢にもと、朝はそれなりに忙しい。
読書疲れもあるので、午前中は身体を動かす。
では、並木座の記事をUP。


並木座ウィークリーと共に」第18回
 カズの愛読書は時代小説だった。それも山手樹一郎を一筋に。小さなブックスタンドには常時、十数冊の単行本が並んでいた。当時の私はそういったものには全く興味が無かったので1ページたりとも読んだことはないが。けれど私が一緒に暮らした高校時代、カズが通勤の折に買うのだろう、毎週のように持ち帰るマンガ週刊誌だけはいつだって待ち望んでいた。 
 「週刊漫画サンデー」(実業之日本社、1959年創刊)と「週刊漫画TIMES」(芳文社、1956年創刊)がそれだ。これらの雑誌、カズは創刊時から読んでいたんじゃないのかな、私が中学生になって自由が丘松竹へ遊びに行ったとき(1959年〜)には、すでに事務所に置いてあったから。
 1コマや4コマ、もしくは数ページの大人マンガというか、それまで少年雑誌のマンガや貸本劇画しか知らなかった私にはえらく新鮮に映った。その内容にお色気の要素が入っていたからかもしれないが(笑)。どちらかというと「漫画サンデー」の方が好みだったかな、「少年マガジン」より「少年サンデー」の愛読者だったせいもあるのか? 同じ出版社じゃないのにね。
 それともう一冊、こちらは月刊だが「漫画読本」(文藝春秋)も毎月購入していた。読み物も多く、軽妙洒脱な雑誌だったと記憶している。つまりは、カズのおかげでやけにませた高校生愛読者の誕生ですね。私のマンガ好きも、つまりはカズ譲りだったのか?ひょっとしてこれらを私のために?ンな馬鹿な!
 ここでひとつ、そのころの「漫画読本」をネット検索して出てくる名前を列挙してみると…秋好馨井崎一夫出光永おおば比呂司岡部冬彦、小川哲男、荻原賢次、改田昌直、加藤芳郎金親堅太郎、工藤恒美、倉金章介久里洋二小島功小林治雄、近藤日出造境田昭造、坂みのる、佐川美代太郎、サトウ・サンペイ、佐藤六郎、塩田英二郎島田啓三清水崑杉浦幸雄鈴木義司滝谷節雄谷内六郎、チック・ヤング(「ブロンディ」)、チャールズ・アダムス(「幽霊一家」)、長新太、佃公彦、富永一朗那須良輔西川辰美、根本進、馬場のぼる松下井知夫真鍋博水野良太郎六浦光雄、森哲郎、ボブ・バトル(「意地悪爺さん」)、横山泰三横山隆一、八島一夫、柳原良平レイモン・ペイネ(「恋人たち」)、和田義三…どうです、懐かしい名前ばかりですね(いまだ現役でご活躍の方もおられます)。
 そして、併せて連載マンガのタイトルをも思い出される方も多いことでしょう。「轟先生」「ベビー・ギャング」「オンボロ人生」「あんみつ姫」「ユメコさん」「アトミックのおぼん」「おとらさん」「フクちゃん」…おっと、ずいぶんと行数を稼いでしまったが、ご容赦!
 手塚治虫石森章太郎なども執筆していますが、それはもう少し後のことですね。この「漫画読本」、現在の古書相場は2000円前後です。「漫画サンデー」は1000円位。今度、古本市などで探してみようかな。当時の定価は覚えてないけど…この十分の一くらいだったのかも(買ってたのはカズだから・笑)。
 ところで、小島功描くところの女性には、高校生の私も爽やかなお色気を感じていました。「週刊アサヒ芸能」連載の「仙人部落」が深夜のアニメになったのは1963年秋、私が高校2年の時で、こっそりとでもないけど、毎週欠かさず観ていましたっけ。
 この大人向けアニメ「仙人部落」、当然モノクロ作品だけど、虫プロ鉄腕アトム」(1963年1月〜)に次いで国産二番手のアニメだったのですよ。番組企画者も凄いところに目を付けましたね(笑)。このすぐ後「鉄人28号」(TCJ)「8マン」(TBS)「狼少年ケン」(東映動画)と、バタバタと競うように放送開始となります。
 この「仙人部落」を制作していたのがTCJ、のちのエイケン。後年、長寿アニメ「サザエさん」の制作会社となるスタジオです。「鉄腕アトム」と手塚治虫しか眼中になかった私は、こういった番組は完全に観る側の意識だったのでしょう、制作している会社やスタッフに関心は無かった。ただ、小島功の女性キャラクターが色っぽい声で喋ってるのが嬉しかっただけ(笑)。
 そして、それから十数年が経った或る日のこと、私が監督の「まんが偉人物語」というアニメ番組の演出打ち合わせに、Uさんという飄々とした人物が現れました。かなりのベテランとお見受けするその人こそ「仙人部落」のチーフ・ディレクターだったのです。私はラインナップから迷わず「杜甫李白」をお願いすることにしました。だってUさん、仙人そのものみたいなお方でしたもの!
 では69号から72号の紹介。
●69号 扉は「原節子さんまた頑張って」えと文 野口久光
上映は 成瀬巳喜男 三部作旬間として「めし」「夫婦」「妻」を五、四、五日間で。
共に 製作・藤本真澄 監督・成瀬巳喜男東宝映画) 
「めし」
原作・林芙美子 脚色・田中澄江井手俊郎 
出演・上原謙原節子島崎雪子杉葉子小林桂樹
「夫婦」
脚本・水木洋子井手俊郎
出演・上原謙杉葉子三国連太郎岡田茉莉子
「妻」
原作・林芙美子 脚色・井手俊郎
出演・上原謙高峰三枝子丹阿弥谷津子/伊豆肇
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第六十九号)
「めし」「夫婦」「妻」について  藤本真澄
(略)原作の林芙美子さんから、原節子上原謙のような美男、美女の夫婦では困る。もっと平凡な人たち、庶民の臭いのする人たちに演じて貰いたいと言われた。私は夫婦だけが殆んど全篇を通して出演している場合、ある程度美しい人たちでないと二時間近い時間をひっぱって行くのは困難であると説明した。
林芙美子が亡くなり、藤本氏は自分の考え通りにキャスティング。「結果は成功、ご存命ならきっと喜んでもらえたに違いない」と締めています。「夫婦」は「めし」の好評で原、上原コンビの再現を狙ったが、原の病気で杉葉子になったと。
〈映画ファン教育(エチケット)〉
缶詰会社のPR映画「ポパイ」の漫画すら作れない我が国、こんど東映が三十五ミリ漫画映画の製作に本腰を入れるそうですが、今からたのしみです。
〈観客席〉
「ここに泉あり」の上映時間が短いように思われたが、封切当時に観た者から聞いて、ある場面が抜けていることが分かった。並木座ともあろうものがと、裏切られた気がした。
※という叱責に、「このプリントは今井監督が輸出目的に縮尺編集されたもので、当館としては、毎日の一回目の上映には旧版を上映していた。」と弁明。つづけて「新旧両篇を見ることが出来た。やはり圧縮された海外版に、より強い迫力と感動を感じた。二本のプリントを上映する並木座の良心と誠意に感謝します。」という投書を掲載。(1955・4・13)
●70号 扉は 「デコちゃんの繪によせて」 野口久光
上映は「二十四の瞳」(松竹映画)※アンコール上映です。
製作・桑田良太郎 原作・壺井栄 脚本/監督・木下恵介  
出演・高峰秀子天本英世/夏川静江/笠智衆浪花千栄子
〈解説〉
昭和の初めより終戦後に至る約二十年に亘る歳月を通して、瀬戸内海の小豆島を舞台に、一人の女教師と十二人の教え子たちの美しい結びつきを描きつつ、平和への祈りと人間の幸福を淡々と描写している。
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第七十号)
「三台のバス」 登川直樹(映画評論家)
この映画のなかに、バスの出てくるところが三ヵ所ある。(※それぞれのバスの違いを述べて)二十年の歳月を描くには、バスひとつにも時代の相違をはっきり描き分けるような、細心の注意と努力が秘められている。すぐれた映画とは、いつもそうしたものである。
〈映画評紹介〉「胸打つ清い感動」 井沢淳(朝日新聞より)
すばらしい映画が出来た。二時間四十分、木下恵介の演出は淡々たる調子で、話を進めながら、感動的に結末へ盛り上げ、見終わってフランス映画「禁じられた遊び」に劣らぬ驚くべき演出力に打たれる。これを見たら、ほかの日本映画がアホらしくて見られない。(略) 
※ここまでは前回上映の際のプログラム(第57号)と全く同一の内容です。
〈WIPE〉
東宝から出た有馬稲子が松竹と契約した。松竹の新人山田真二東宝へ移籍した。俳優さんも野球選手のようにトレードされる事になったのかな。(1955・4・27)
●71号 扉は 森繁久彌のえと文
上映は〈井手脚色/久松監督 研究週間・其の一〉として日活の「警察日記」(文部省特選)と「おふくろ」(文部省選定)を一週ずつ 製作は共に坂上静翁
「警察日記」※アンコール上映(プログラム第65号参照)
原作・伊藤永之介 脚本・井手俊郎 監督・久松静児
出演・三島雅夫森繁久彌三国連太郎宍戸錠伊藤雄之助
「おふくろ」
原作・田中千禾夫 脚本・井手俊郎 監督・久松静児
出演・望月優子木村功左幸子沢村貞子宇野重吉
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第七十一号)
久松さんのこと「女房の苦言」 井手俊郎
映画監督とシナリオライターの関係は例えば良人と妻の関係に似てるんじゃないだろうか。それほど密接で、ツーと言えばカーと通じる位でなければとてもいい仕事は出来ないし、しかも他からは窺い知ることの出来ない複雑怪奇な心理の闘いがある。
※つづけて、女房の立場からと、軽妙洒脱に久松監督の旦那様振りを書いて笑わせます。(1955・5・4)
●72号 扉は「コンチはコンチ」野添ひとみ(え・土方重巳
上映は「姉妹」(中央映画製作/独立映画配給・文部省選定)
脚色・新藤兼人家城巳代治 監督・家城巳代治 
出演・野添ひとみ中原ひとみ河野秋武/川崎弘子/多々良純望月優子内藤武敏加藤嘉北林谷栄殿山泰司
〈解説〉昭和29年度毎日出版文化賞をうけた畔柳二美(くろやなぎふみ)の自伝的小説の映画化。
※主人公の近藤俊子はチビ。近藤のチビでコンチと呼ばれる。
☆映画随筆〈並木座ウィークリー〉(第七十二号)
「父性愛と監督」 家城巳代治
作品はその作家の産みおとした子供にはちがいないが、監督には自分の映画の登場人物に、いわゆる「惚れる」ということが、さまざまな形で現れてきます。(後略)
※として、映画の姉妹の生き方を父親の眼差しで… 
〈WIPE〉
京マチ子アメリカ映画に主演か、メトロの「八月の茶屋の月に」
マーロン・ブランドの相手役候補に上る。
※「八月十五夜の茶屋」実現して、ゴールデングローブ賞(主演女優賞)にノミネートされたのでした。(1955・5・18)

☆HPを作ったので、今後は前段の私的回顧部分はそっちに廻して、次号からは本編のみのご紹介にします。
一部から「長すぎる!」って不評なのよ(笑)。