私に伝説のアパート「トキワ荘」のことを思い出させたのは、手元に届いた、長谷邦夫著「赤塚不二夫・天才ニャロメ伝」。（長谷先生ありがとうございます。私のような者にまで！）
長谷先生と赤塚不二夫さんとの関係は、マンガファンであれば周知のこと。実際に住んでいなくとも先生も「トキワ荘」グループの一員です。（石ノ森章太郎著「トキワ荘の青春」にも出会いの頃のことが詳述されています）お二人はもう半世紀もの付き合いになろうかという仲、そして先生自身はマンガ家であると同時に、フジオ・プロで赤塚さんの片腕として執筆（アイデア）ブレーンを長く務めます。このたび、病魔に倒れた赤塚さんに成り代わって「自伝」を書かれました。それが、この「赤塚不二夫・天才ニャロメ伝」です。「書かれました」というより「描かれました」ですね。文章によるものでなく、マンガなのですから！。
赤塚さんの出生に始まって、マンガとの出会い、長谷邦夫、石ノ森章太郎と知り合っての「トキワ荘」時代のこと。スタジオ・ゼロからフジオ・プロへ、そして数々の大ヒットマンガ「おそ松くん」「もーれつア太郎」「天才バカボン」…etc誕生の裏話。もう驚くほど盛りだくさんのエピソードと共に、波乱万丈の＜赤塚不二夫の人生＞が活き活きと描かれています。
「トキワ荘の青春」や、藤子不二雄Ａ先生の「まんが道」といったご本人執筆の自分史と違って、客観的立場に居られた長谷先生が描かれたことにより、周辺の多士済々の人物にまで視点が拡がって、さながら「昭和ギャグマンガ一般史」の様相をも呈しています。資料本としても一級品。面白いです。先生自ら「みんなより絵が下手」と謙遜されてますが、なんのなんの、もうニコニコ楽しげにペンを走らせたであろう様子が、ページのあちこちから伝わってきました。まさに「ベシ！買うベシ！」でありますぞニャロメ！。
今回の長谷先生からの献本拝受は、私にとっては「トキワ荘」関係者としては藤子A先生、鈴木伸一先生のNHKのアニメ番組「パラソルヘンべえ」の監督をさせてもらって以来の接点です。今、こうしてはるかな時間を越えた遭遇に感激しきりの私であります。
以下は本著＜奥付・著者紹介＞から、先生への私信のようなもの＝私も高校に入ってＳＦマガジンを知り、たちまちＳＦのとりことなって「宇宙塵」に参加しました。パロディ誌の「宇宙鹿」も知ってます！でも、会誌が見つからない…ＳＦマガジン同好会の「宇宙気流」は有った（一冊だけ）！。結果的には期間限定の「にわかファン」だったもので…それでも裏表紙の「ショートショートコンテスト」に応募したりはしてたんですよ。あッ、１９６３年のＳＦart研究会の会員名簿が出てきました。石森章太郎、伊藤典夫、柴野拓美、手塚治虫、戸村浩、豊田有恒、長谷邦夫、波多正美、広瀬正、水野良太郎、光瀬竜（龍）、森優…計４６名。ワァッ、この中に一緒に私の名前が載ってる！凄いお宝だァ！
よーし、大先輩現役マンガ家の先生をお手本に、これからも頑張ろうッ！
