出版2題_

「貸本マンガRETURNS」

両方とも今日の「東京新聞」から。
ひとつは長谷邦夫さんによる「貸本マンガRETURNS」の書評。「広大な創作世界を徹底研究」と題されていますね。ここで転載は出来ないけれど、書名からでは分かりづらい「どんなことが書かれているのか」をうまく説明されています。私が感心したのは「社会の底辺に育ち、生活のためにマンガ創作に苦しんだ若きコンプレックスや情念が作品世界に沈殿、あるいはアクを浮かべるという作品分析が一部見られるが、創作時には、現在のように編集管理、規制をされることはなく、むしろ自由な表現が許される開放の場でもあった」との、貸本マンガでデビューし、七年間その世界にいた当事者ならではの言葉。当時、読者であった私たちも、貸本にそんな<暗さや重さ>なんか感じることなく、むしろ開放感を共にしていたとも思っているくらいなので、今になっての「貸本」という、言葉のイメージにとらわれすぎの一部編著者への苦言(?)には拍手!もっと実作者にも取材すべきですぞ。ということで、続巻はその辺りを熱烈期待。
もうひとつは「こちら特報部」の、自費出版を扱う会社の倒産とそれに関わった人たちの怒り。ブログの流行もあってか、自分の本を出したい人が増えており、そこに付け込む怪しい業者もあるぞってことで、「お金を出せば本を出せる」って思ってたら「お金を出しても本にならない」ケースまであるとは!これから団塊の世代が続々引退、「自分史」を本にしたいと、大量ターゲットの出現。奴ら手ぐすねひいて待っていますぞ。今だって「入れ食い状態だ」ってうそぶいてるんですから。みなさん、ご留意を。