日記で「日本昔ばなし」_

「三年寝太郎」

雨が降り続いています。やはり野球観戦の連チャンは取り止めとしましょう。選手の皆さん、プレーオフでの頑張りに期待。
さて、また水曜日がやってきました。「昔ばなし」ファンの方々、番組の放送が無いことにもう馴れましたか?(笑)。この日記には相変わらず関連キーワードでのご訪問が、連日多々続いております。何故か「宝の下駄」とか「亜細亜堂」とかね(もちろん人名でも)。そういうのを見ると、たいしたこと書いてないのに申し訳ないなぁ、なんて思いますよ。「馬方とタヌキ」みたいな自分のものなら「ようこそいらっしゃいました」ですが、私が担当していない作品でもタイトル名を頼りに辿りつくわけですから、ただ列記するだけじゃいけませんね。
今後は、今回の再放送で流れなかった残りの自作のことを、ポツポツと自分の備忘録代わりに日記に書いておくことにします。それなら多少は「へぇ〜」となるかも…(笑)。
で、第一回?は当然「三年寝太郎」だ!。
まんが日本昔ばなし」に於ける私の最初の演出作(作画は先々週放送の「たにし長者」)。
これは演出と作画の両方を担当しています。ビデオにもなって販売されたから、ここから先は映像を知ってる(覚えてる)人向けかな。あ、絵本にもなってますね。
この話は山口県厚狭地方の民話(寝太郎が村人にわらじを大量に作らせて佐渡の金山で働かせ、わらじの底に付いた砂金を集めるなんて話)が基になっている。「物事は焦らずじっくり時間をかけて…されば、必ず成就する」というような教訓ばなしでしょうか。この番組では、三年間も寝てばかりというのと、川に堰を作って田に水をひいたところだけを戴いている。だから途中はほぼ創作エピソードですね。丘の上から巨岩を落として水路を変更させるのに、最初は放尿の勢いを利用というアイデアも有ったりしたが、結局は自力(腕力)となった。おしっこのくだりは「虹」で表現(笑)。
作画に毛筆を使ってますが、これはいったん鉛筆ですべての作画を完了させてから、透視台の上で新たな紙を載せ、毛筆でトレスし直したもの。墨の線の太さもきっちりと中割りして、動きに伴って乱雑にぶれないよう配慮しています。流れる濁流も、セルの上から筆でタッチを加えて背景とマッチするようにと、けっこう面倒な手間がかかってる。この辺りはまったく採算度外視です。当時はグループ・タック社内のスタッフみんながそうだった。それぞれが時間の許す限り、自分の作品にとことんのめりこんでましたね。
山水・水墨画風の美術は内田好之さん。こういったスタイルを描かせると彼はピカイチです!
いつかも書いたけど、撮影済みの素材は資料用の数点を残し、すべて廃棄してしまう(某社が出してる絵本はプリントから起こしているので、オリジナル素材が無くとも困らないのだ)ので、自分の記念用にと、こっそり確保した一枚を画像提供。
寝続ける寝太郎。ねずみたちが何も無い室内に肩を落としています(この前のシーンではキノコが生えたのを収穫してる)。それにしても30年以上前の物だから、トレスのライン(カーボン)が絵の具に溶け込んでボケてしまってますね。
こういったものは他の作品も含めてこれ一点だけです。あとはキャラクター表だけがかろうじて手元に残ってる。